【東京】78年目の「終戦の日」を迎えた15日の全国戦没者追悼式で、岸田文雄首相は式辞で「沖縄での地上戦」の犠牲者への弔いの言葉を述べた上で「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」と不戦を誓った。戦没者遺骨収集事業の2029年度までの延長を盛り込んだ戦没者遺骨収集推進法の改正を踏まえ「遺骨の収集を集中的に実施」するとも述べた。
岸田氏は式辞で「広島や長崎での原爆投下」や「各都市での爆撃」など民間人にも多くの犠牲が出た戦争被害の事例として「沖縄での地上戦」も挙げ、犠牲者への祈りをささげた。沖縄戦の犠牲については、菅義偉前首相、安倍晋三元首相も触れており、前例を踏襲した形だ。
一方、改正戦没者遺骨収集推進法の成立に伴い、遺骨収集事業を「国の責務」とする方針を明記した基本計画を7月に閣議決定したことを踏まえ「国の責務として、ご遺骨の収集を集中的に実施」するとした。
不戦の誓いに続き、国際社会の課題解決に取り組む姿勢に言及した場面では、昨年の式典の式辞に続いて「未だ争いが絶えることのない世界にあって」と前置きした。
22年2月から続くロシアによるウクライナ侵攻を念頭にしたとみられる。
(安里洋輔)