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戦争遺跡10道県が独自に調査 福岡、長崎など 沖縄は全国の先駆け


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 太平洋戦争関連を主とした旧軍施設や戦災跡地といった「戦争遺跡」について、47都道府県のうち10道県が保存状況など全容把握のための調査を独自に実施したことが16日、共同通信の集計で分かった。15日で終戦から78年。

 着手時期が2015年以降に集中し「物言わぬ証言者」とも呼ばれる遺跡を通じた継承の動きが本格化しつつある実態が浮かんだ。

 劣化や消失の懸念がある中、調査から文化財指定につなげた事例もあった。

 戦争体験者が減る中、都道府県の担当者から遺跡を通じた継承の重要性を指摘する声が相次いだ。国による指針作成や補助金充実を求める意見も出た。

 今年7月時点の状況について回答を得た。「調査を実施済み、あるいは実施中」と答えた10道県は、北海道、滋賀、和歌山、鳥取、島根、高知、福岡、長崎、宮崎、沖縄。沖縄県は全国に先駆けて1998年から実施し、約千件の分布を確認した。文化財指定を呼びかけており、市町村による指定が増えている。長崎県は11年に行った。

 残る8道県はいずれも15年以降に実施。福岡県は17~20年に行い、結果を基に今年3月、同県行橋市の旧海軍の航空機格納施設「稲童掩体(いなどうえんたい)」を戦争遺跡として初めて県指定文化財とした。島根県は22年度、保存を図るための基礎資料として調査した。「実施するかどうか検討中」は5府県、「検討していない」は31都府県だった。
(共同通信)