辺野古新基地巡り沖縄県が国を提訴 サンゴ類移植の農相指示は「違法で無効」


この記事を書いた人 琉球新報社
新基地建設に伴うサンゴ類移植を巡り、訴状を提出するため福岡高裁那覇支部へ向かう県職員ら=17日午後4時ごろ、那覇市樋川

 名護市辺野古の新基地建設に向け沖縄防衛局が進めようとする大浦湾からのサンゴ類移植を巡り、県は17日、農林水産相が県に移植を許可するよう是正の指示をしたことは違法で無効だとして、指示の取り消しを求める訴訟を福岡高裁那覇支部に提起した。新基地建設を巡る裁判は13件目で、サンゴ類移植の訴訟は2件目になる。

 提訴は、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)が7月、農相の指示は違法ではないと判断したことを不服としたもの。

 玉城デニー知事は、国地方係争処理委員会の判断について「極めて問題があり、その結論は到底容認できない。この裁判で是正の指示が違法であることなどを強く主張していく」とのコメントを発表した。

 防衛局は2022年7月、軟弱地盤に生息するサンゴ類約8万4千群体の特別採捕許可を県に申請。県は許可せず、農相が23年3月、県に許可するよう指示した。県は5月、指示を不服として係争委に審査を申し出た。

 軟弱地盤の改良工事に伴う埋め立て設計変更申請を県が不承認とした処分を巡っては、県が国の関与取り消しを求めた2件の訴訟が最高裁で係争中。9月にも最高裁判決が出る可能性があるとみられ、県が敗訴した場合は今回提訴した訴訟にも影響を及ぼすと予想される。また、県が不承認処分の効力回復を求めた抗告訴訟は那覇地裁で取り扱っている。