那覇市出身のラッパー、CHICO CARLITO(チコ・カリート)が3作目のアルバム「Granma’s Wish」をリリースした。亡き祖母への思いなどをつづる「B.G.D」など全10曲を収録した。昨年、再び上京し制作した20代最後のアルバム。耳に残るフレーズや、16小節の力強いラップに思いを込めた。
高校生の頃はバンドを組み、当時はラップなどのヒップホップのジャンルに親しみがなかったという。
やがてラップと出合い、「こんなに生々しく、言いたいことの言える音楽はすごい。ジャーナリズムを感じた」と心が震えた。
19歳の頃にはラップを始め、大学進学とともに上京し本格的に活動を始めた。21歳の頃にアドバイスを受け、プロになることを意識した。
ことし8月4日には、同じ県出身のラッパーであるAwich(エーウィッチ)、SugLawd Familiar(サグラダファミリア)のVanity.K(バニティーケー)と、全国放送の音楽テレビ番組に出演した。
チコ・カリートは「できることが増え、結果が伴った10年であったし、沖縄のヒップホップに火が付いた10年だったとも言える」と振り返った。一方で、一時は音楽を辞めるか迷った時期もあった。昨年、再び上京を決意。祖母から「体調に気を付けて仕事頑張って」と言われた最後の言葉を胸に制作したと明かす。
アーティスト名の「チコ」は、プエルトリコ系の米兵だった祖父のあだ名に由来する。「自分がどのような人間で、どういうことを考えているかというのを歌える音楽がヒップホップの強みだ」と音楽に向き合う姿勢は常に自然体だ。
「君もできるよ。目標や結果に向かって、自分がやるべきことにフォーカスを当てられる生き方もある。アルバムを聴き、何かをやりたい。そんな人が一人でも増えたらいい」。アルバムに込めた同世代へのメッセージだ。
(田中芳)
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アルバムは6月30日リリース。ワンマンライブツアー初日の沖縄公演が9月2日午後6時から、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホールで開く。チケットは完売している。8月26日に若干枚数を販売する予定。