国立劇場おきなわの親子のための組踊観賞教室「二童敵討」が7月22日、浦添市の同劇場であった。兄弟による敵討ちの物語を、若手や中堅を中心とした立方がはつらつと演じた。立方指導は嘉手苅林一、地謡指導は中村一雄。
父である護佐丸をあまおへ(比嘉大志)に殺された鶴松(國場海里)と亀千代(伊波心)の兄弟は、あまおへ一行が酒盛りをしているところに、踊り子になりすまして近づく。踊りと酒であまおへを酔わせながら、隙をついて父の敵討ちを果たす。
敵討ちに向かう前に母(田口博章)に許しを請う場面では「散山節」が別れの悲しみを演出した。あまおへに近づく兄弟の踊りは、美しく見せる軽やかさと隙をうかがう緊張感があった。あまおへが踊り出した場面では、比嘉の動きや表情に滑稽さがあり、人間味も感じた。兄弟の正体を知った後で一気に緊張感が高まった場面は、めりはりが利いた演技だった。
公演では組踊に関する解説のほか、ロビーでは組踊で使われる小道具や楽器を実演家が紹介する展示もあり、古典芸能への興味を促した。親子で公演を見た運天政愛さん(9)=浦添市=は「あまおへが酔っ払ったところが面白かった」と話した。
(田吹遥子)