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【宜野湾】北中城高校を1994年のインターハイで県高校男子バスケットボールの史上最高位となる準優勝に導いた新里勲監督に感謝を伝えようと、同校男子バスケ部のOBは7月28日、宜野湾市の飲食店で謝恩会を開いた。元バスケ部の10~13期生の23人が集まった。新里監督はオンラインで参加し、教え子の成長ぶりを見て喜んだ。
北中城高校は94年のインターハイで能代工業高校(秋田県)と決勝戦で対戦した。当時の能代工業は高校バスケットボール界の絶対的王者として君臨しており、新里監督や部員も「打倒能代」を掲げて挑んだ。試合は壮絶な点の取り合いの末、54―57で惜しくも準優勝に終わったが、沖縄の高校バスケットボール史上最高の結果を残した。
謝恩会は当時の部員で11期生の浜村賢次さん(45)が企画した。「卒業後、新里監督との交流はほとんどなかった。恩師にいつか感謝を述べたいと、私を含む教え子全員が思っていたが、なかなか監督を呼び出すことができなかった」と浜村さんは語る。新里監督が教え子の主催する会に出席することは奇跡にも近いという。「県内の複数の高校で指揮を執っていた人なので、一つに出ると他のところにも出ないといけない。不公平なことはできないという監督のポリシーだと思う」。今回は会全体の一部にオンラインで参加するという条件で、監督の出席を取り付けた。
会に先立ち、OBらは感謝の言葉とそれぞれの成長を報告するメッセージを動画に収めた。
動画をプレゼントされた新里監督は、教え子が高校卒業後、学校教員や地方公務員などそれぞれの道で活躍する姿を知り、「みんながこんなに成長していることにびっくりしているとともに、感動した」と笑顔を見せた。さらに教え子らを指導していた頃を振り返り、「打倒能代を掲げ、みんなとバスケットボールをできたことがうれしかった」と懐かしんだ。教え子らは画面越しの監督に一言ずつ、思い思いの感謝を述べた。中には涙をこらえながら画面越しの再会を喜ぶOBの姿もあった。
準優勝の時の主将を務めた新垣雅志さん(47)も会に参加した。「久しぶりの再会に心に来るものがあった。『この小さな島でも全国制覇できる』と監督に教えられてきたが、今でもその言葉は忘れていない。今は教え子が指導者として子どもたちにバスケを教えている。監督と僕たちの夢をかなえたい」と力強く語った。
(名嘉一心)