【東京】北朝鮮の朝鮮中央通信は24日、軍事偵察衛星の打ち上げを同日行ったが、失敗したと報じた。小野田紀美防衛政務官は24日朝に防衛省で会見を開き、発射されたものは複数に分離し、いずれも予告区域外に落下したとの分析結果を明らかにした。一方、沖縄県内などに展開している地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の撤収予定や破壊措置命令解除については「情報分析を続け、適切に判断する」と述べるにとどめた。
小野田氏によると、北朝鮮は24日午前3時51分ごろ、北朝鮮北西部沿岸の東倉里地区から衛星を発射した。発射された1発は複数に分離し、一つは3時58分ごろに朝鮮半島の西約300キロの黄海上に落下。もう一つは3時59分ごろ、朝鮮半島の南西約350キロの東シナ海に落下した。別の一つが4時ごろに沖縄本島と宮古島の間の上空を通過し、4時5分ごろ、フィリピンの東約600キロの太平洋上に落下した。
政府は24日午前3時54分に、沖縄県を対象に全国瞬時警報システム(Jアラート)で「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられる」と速報し、建物などへの避難を呼び掛けた。同4時7分には「午前4時ごろに太平洋に通過したものとみられる」として避難の呼び掛けを解除した。
防衛省・自衛隊は先島地域や那覇でPAC3を展開していたが、破壊措置は実施していない。沖縄県防災危機管理課によると、午前6時半時点で警察、消防、海上保安庁、自衛隊や県内全市町村に確認し、被害の情報はないという。
小野田氏はPAC3の撤収時期や条件については「現段階で具体的な事は控える。引き続き警戒に努める」と述べた。防衛省関係者によると、引き続き発射の可能性があると判断すれば展開を延長する見通し。