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河村「歴史変える」 バスケW杯あす開幕 ホーバス監督、再び世界に挑む 3点弾柱「最初から最後まで」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 25日開幕のバスケットボール男子ワールドカップ(W杯)に臨む日本代表は23日、会場となる沖縄市の沖縄アリーナで初練習を行った。司令塔の河村(横浜BC)は「今後の日本バスケ発展のためにも結果を出したい。歴史を変える姿を見せられれば」と決意を語った。15日の強化試合で右足首を捻挫した米プロNBAサンズの渡辺は、負傷後初めて取材に応じ「正直、100%になるとは思っていないが、プレーができるぐらいには回復している。やるしかない」と25日の1次リーグ初戦、ドイツ戦の出場に意欲を示した。既に全体練習にも参加していると言い「足首どうのこうので、出場時間が減ることはないと思う」とも語った。W杯は日本、フィリピン、インドネシアの共催。日本では2006年に前身の世界選手権を開いて以来。アリーナ内は観客を迎え入れる準備でスタッフが慌ただしく作業に追われた。日本はアジア最上位に与えられるパリ五輪出場権獲得を目指す。

練習に臨む河村(中央)ら日本代表=沖縄アリーナ

 東京五輪でバスケットボール女子日本代表を史上最高成績の銀メダルに導いたトム・ホーバス監督(56)が、25日開幕の男子ワールドカップ(W杯)で再び世界に挑む。「チャレンジすることが面白い」と五輪後に男子監督に転身した勝負師は、選手の成長を促し、規律を浸透させて戦う集団をつくり上げた。

 ホーバス監督の言葉をきっかけに、大きな飛躍を遂げた選手がいる。22歳のガード河村勇輝(横浜BC)だ。昨年8月14日の国際強化試合のイラン戦。第3クオーター終盤、監督はシュートを打てる好機で繰り返しパスを選択した河村をベンチに下げると、消極的な姿勢を厳しく注意した。

 福岡第一高時代からアシストの名手として知られた河村は同年7月に代表デビューしたホープ。ただ、シュートを打たなければ、相手は抜かれないように下がって守るだけで、怖さがなかった。「世界で通用するガードになるには、点が取れなければ駄目」。監督からこう伝えられた河村はこの試合を機に一念発起。Bリーグで得点能力を開花させ、代表で先発起用されるまでに成長した。

 監督は弱気なプレーや、現状維持に甘んじる姿勢を嫌う。就任当初から「ハングリーさがない選手はいらない」と繰り返し、「全員が(エース格の選手を意味する)『オプションワン』だ」と自覚を持たせた。戦術面では女子同様、得点効率の高い3点シュートの多投を柱に据え、各選手に少しでも前が空いたらリングを狙うよう徹底。東京五輪で1試合平均28・0本だった3点シュート試投数は19日までの強化試合3戦はいずれも40本超に上るなど、チームカラーが確立された。

 試合前のミーティングで、監督はいつも白板に英語で「最初から最後まで」と書き込むという。40分間、各選手が役割を遂行することを求め、W杯でもそうした戦いができれば、格上相手にも必ずや勝機を見いだせると信じている。「ベストなバスケを見せる」。磨き上げてきた「ホーバス流」で難敵に挑戦する。
(共同通信)