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台風6号、なぜ「想定外」だったのか? 降水量、8月最多 沖縄気象台が報告


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄地方でUターンするなど長時間県民生活に影響を与えた台風6号について、沖縄気象台は23日の定例説明会で分析した内容を報告した。気象台は、大陸付近の高気圧が想定より張り出したことで、当初予想進路から大きく変わったと説明。高気圧の強まりで進行速度が遅くなり、暴風の長期化や記録的大雨にも影響したとの見方を示した。

 台風の当初予想は、比較的速いスピードで沖縄地方を通り中国の華南方面へ向かうとみられた。実際は高気圧が大陸内部へ張り出し、進路が阻まれて速度も遅くなり、沖縄地方をUターンするなど複雑な動きを見せた。

 本島地方を中心に長時間暴風にさらされることになり、久米島では約72時間暴風域の圏内となった。ただ、強さのレベルは「非常に強い」と最上位の「猛烈な」に及ばず、最大瞬間風速や最大風速についても、通年でみれば記録的な水準でもないという。

 降水量(速報値)では、7月31日の降り始めから8月8日午後3時までに、久米島町謝名堂で791.5ミリ、那覇市の気象台で683.5ミリを記録し、それぞれの地域の8月最多降水量を超えた。沖縄地方は雨雲にかかることが多く、6日に発生した線状降水帯の影響もあった。

 大潮の影響で潮位も上がり、南城市知念安座間では1日午後7時42分に潮位226センチを記録し過去最高を更新した。

 気象台は当初の予想と大きく異なる結果になったことについて「高気圧がどこでどのくらい強まるかという予測は、現在の技術でも大変難しい」との見解を示した。

 一方、Uターンするなど複雑な動きを見せた点については「数年に一度の頻度で見られるもので、特段、珍しいというものではない」と解説している。

 気象台は9~11月の3カ月予報も発表。向こう3カ月は暖かい空気に覆われやすいため、平均気温は高い見込み。降水量は南からの湿った空気の影響を受けやすく、平年並みか多い見込みとなっている。
 (小波津智也)