北朝鮮、2度目の発射も失敗 10月に再試行 防衛省は県内PAC3展開を継続か


この記事を書いた人 琉球新報社
北朝鮮からミサイルが発射されたことを受け、県内各地の状況を確認する沖縄県防災危機管理課の職員ら=24日午前4時25分ごろ、那覇市泉崎の沖縄県庁

 北朝鮮の朝鮮中央通信は24日、国家宇宙開発局が同日未明に北西部東倉里の西海衛星発射場から新型衛星運搬ロケット「千里馬1型」で軍事偵察衛星「万里鏡1号」の再打ち上げを行ったが、3段目の飛行中に非常爆発システムにエラーが生じ失敗したと報じた。日本政府は県内で全国瞬時警報システム(Jアラート)で発射を速報した。北朝鮮は10月に改めて発射する考えを示しており、防衛省は県内での地対空誘導弾パトリオット(PAC3)展開を続ける可能性がある。

 日本政府によると、午前3時51分ごろ発射され、複数に分離して一部が沖縄本島と宮古島の間の上空を通過した。朝鮮半島の西の黄海と南西の東シナ海、フィリピンの東の予告区域外に落下したとみられる。県は県危機対策本部会議を開催した。県内外で被害の情報は確認されていない。

 防衛省・自衛隊は物体が落下してくる場合に備えてPAC3を那覇市や宮古島市、石垣市、与那国町に展開していたが、破壊措置は実施しなかった。

 吉田圭秀統合幕僚長は会見で、今後のPAC3展開について「情報の分析・評価を続ける中で適切に判断する」と述べるにとどめ、撤収のめどは明らかにしなかった。

 北朝鮮は3段目の不意の爆発が失敗原因で、ロケットの上昇と分離は成功したとみているもようだ。韓国軍関係者は朝鮮労働党創建記念日である10月10日前後に発射する可能性もあると述べた。

 松野博一官房長官は記者会見で「衛星打ち上げが目的だったとしても、国民の安全に関わる重大な問題だ」と非難。政府は北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議した。

 日米韓は24日、打ち上げは失敗したとの見方を明らかにし、国連安全保障理事会決議に違反すると批判。電話外相会談を行い、対抗措置として独自制裁を検討していくことで一致した。

 北朝鮮は5月に衛星打ち上げを試みて失敗。8月22日、衛星打ち上げに伴い、24日午前0時~31日午前0時に海上の3カ所に危険区域を設けると海上保安庁に通告していた。

 >>>【識者談話】前泊博盛沖国大教授「撃たせない努力が日本の政府に見えない」