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【識者】オオカミ少年国家にならないか 前泊博盛沖国大教授


この記事を書いた人 琉球新報社

 北朝鮮の衛星運搬ロケットが上空を通過した沖縄県では24日未明、就寝中の時間帯に政府の全国瞬時警報システム(Jアラート)や自治体の防災無線が鳴り響くなど、物々しい雰囲気に包まれた。防衛省は破壊措置命令に基づき県内離島にPAC3を展開する厳重な警戒態勢を敷いてきたが、「台湾有事」を念頭に南西諸島で進める軍事強化との連動も指摘される。北朝鮮の衛星発射に対する日本政府の対応について、識者に見方を聞く

前泊博盛・沖縄国際大教授の談話

 「オオカミ少年国家」にならないかという警鐘を鳴らしたい。

 「来るよ、来るよ」と言いながら実際には来ない、そういう状況に国民が慣れてしまい本当に大事な時に反応できない可能性があるのではないか。

 夜中に警報で起こされて何ができるのか。避難という対処をするよりも撃たせない努力が大事。日本の政治にはその努力がみえない。

 PAC3を配備して迎え撃つというような形は、本当に最悪だ。撃ち落としたとしても被害は免れない状況になりかねない。なぜ沖縄が被害を受けかねない状況になっているのか、そのことに対する国の責任の取り方、対処の仕方がずさんだ。東京で起きていた場合、同じような対応をしていただろうか。

 北朝鮮は10月に3度目の発射を行うと言っているが、今回と同じにならないよう国際社会と連携し、どう対処するのかということを議論していくべきだ。

 (安全保障論)