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【記者解説】設計変更巡る最高裁の判断、残る訴訟や手続きに大きく影響


この記事を書いた人 琉球新報社

 名護市辺野古の新基地建設の設計変更申請で、県の不承認処分を巡る訴訟は、大きな山場を迎えた。県の不承認を取り消した国土交通相裁決を巡る訴訟は県敗訴が確定したが、最高裁は国交相が県へ承認するよう求めた「是正の指示」訴訟の上告は受理した。

 3月の福岡高裁那覇支部判決は県の訴えを退けたものの、是正指示の判決で「県は裁決に拘束されない」と認め、不承認の適否を判断した。これまで一連の辺野古訴訟判決では、入り口論に終始していたが、中身に踏み込んだのは、県にとって一歩前進とも言えた。

 軟弱地盤の存在を受けた設計変更を巡る司法判断であり、最高裁は実質審理をするべきだ。

 県と国による進行中の関連訴訟はこのほかに、県が不承認処分の効力回復を求めた抗告訴訟と、軟弱地盤からのサンゴ類移植を巡る訴訟がある。是正指示の最高裁判決で県が敗訴した場合、これらの訴訟での県主張に与える影響も無視できない。また県は、是正指示通りに設計変更の承認を改めて迫られる課題がある。

 9月に示される最高裁の判断を受け、県はその後の戦略の練り直しも求められそうだ。
 (金良孝矢)