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森山良子、平和祈り歌い続ける 名護でアコースティックコンサート いーどぅし奏絵らとコラボも


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沖縄・名護ジュニアコーラスと奏絵を迎えて「涙そうそう」を披露する森山良子(中央右)=12日、名護市民会館大ホール

 昨年デビュー55周年を迎えた歌手・森山良子の「アコースティックコンサートin名護」が12日、名護市民会館大ホールで開かれた。沖縄単独公演は13年ぶり。県出身のシンガー・ソングライター・奏絵(いーどぅし)やコーラス団体との共演もあった。1967年のデビュー曲「この広い野原いっぱい」や代表曲の「さとうきび畑」などアンコールを含む全15曲を披露。ポップスやジャズなど多彩に、歌とトークで観客と心を通わせた。

 1曲目に喜納昌吉の「花」を奏絵(歌三線)を迎えて披露した。MCで沖縄での島巡りコンサートなどを振り返った森山は「たくさんの美しい思い出が詰まっていて、こうして、また沖縄でコンサートができることがむちゃくちゃうれしい」と笑顔を見せた。

 「雨あがりのサンバ」「禁じられた恋」「悲しき天使」など懐かしさを感じる人気楽曲に観客は手拍子で応えた。「この広い野原いっぱい」を名護女声コーラスあかねぐもと、「涙そうそう」を沖縄・名護ジュニアコーラス、奏絵とコラボレーションで披露。曲間には、森山が出演者にインタビューして観客を笑わせ、和やかな雰囲気に包まれた。

 作詞した「涙そうそう」について、森山は「亡き兄を思って詞を書いたが、たくさんの人が口ずさむ曲になって、(BEGINや夏川りみとの)出会いが私を前に進めてくれた。大好きな沖縄の歌になった」と語り、続けてBEGINの「三線の花」を奏絵としっとりと聴かせた。

 「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」「ユー・レイズ・ミー・アップ」などでも魅了した。

 終盤に代表曲の「さとうきび畑」をギターソロで聴かせ、森山は「『さとうきび畑』を与えられたこと、これは自分の人生にとって大きなことだった」と振り返った。「命の続く限りこの曲を歌い、10分という少しの時間を皆さんと平和も祈りながらこれからも歌い続けたい」と決意を語った。平和への思いが込められた歌声に、会場は観客の拍手に包まれた。

 主催は芸術鑑賞体験事業実行委員会、名護市、ピーエムエージェンシー。

(田中芳)