バスケットボールワールドカップ(W杯)に初出場したカボベルデ共和国。初めて国名を耳にした人も多いのではないだろうか。アフリカの北西にある人口約58万人の島国だ。沖縄の半数に満たない人口規模の国でなぜ、W杯出場がかなったのか。取材すると沖縄との共通項が見えた。
26日の初戦はジョージアに敗れたものの、試合後に応援団がベンチ裏から「ポジティブにいこう」「君たちは誇りだ」と選手たちに声を掛けていた。沖縄アリーナの外ではリズム良く踊り、W杯を楽しんでいた。
元代表選手のペドロさん(47)によると、バスケはW杯出場経験のあるサッカーの次に同国で人気のスポーツだという。一人当たり国民総所得は3330米ドル(2021年、世界銀行)だが、「貧しい国でもバスケは簡単にできる」と多くが幼少期から親しんでいるという。
アメリカやヨーロッパなどに出稼ぎする移民が多い国でもある。カボベルデ人の夫とラオスに住む中西枝里子さん(35)は、「異国で活躍したり、母国に持ち帰ったりすることで競技が盛んになっているのではないか」と推測する。W杯出場の立役者となったウォルター・タバレス選手もスペイン・レアルマドリードで活躍している。
京都府に住むレイサ・モレノさん(36)は「親戚もいるし、小さい島国なのでみんながつながっている」と自慢げに話す。来沖した応援団もほとんどが世界各地から集まっていた。「国籍が変わってもカボベルデ人の自覚は強い。みんなで応援したい」と次戦に期待した。
バスケが盛んで海外移民が多く、郷土愛の強いカボベルデ。沖縄と同じ島人の心で応援していた。
(古川峻)