沖縄労働局(西川昌登局長)は29日、2022年に県内の事業場から提出された定期健康診断結果をまとめ、検査項目に何らかの異常が見られた労働者の割合を示す「有所見率」が前年比1.7ポイント悪化の72.1%だったと発表した。12年連続で全国最下位の水準で、統計をまとめ始めた1992年以降最も高かった。
有所見率の10年間の推移を見ると、8.4ポイント悪化した。13年から17年までの伸びは1.1ポイントにとどまるが、17年から22年までの間で7.3ポイント増えている。22年の全国平均は前年比0.4ポイント改善の58.3だが、沖縄は前年より1.7ポイント悪化し、全国との差は11.7ポイントから13.8ポイントに拡大した。70%台は沖縄だけで、秋田69.2%、山形68.8%と続いた。
健診項目別では血中脂質が41.8%と最も高かった。全国平均も血中脂質が31.6%で1位だが、沖縄は全国平均を10.2ポイント上回っており、他の項目と比べても最も差が大きかった。血圧が26.7%(全国18.2%)、肝機能が24.0%(同15.8%)と続いた。尿(糖)と喀痰を除く項目で全国を上回っている。
業種別では製造業が79.7%と最も高く、清掃.と畜業が78.4%、運輸交通業74.9%、商業74.2%と続いた。有所見率の高い業種は、過去5年間のデータでも上位に入っている。
西川局長は「健康状態の悪化は労災事故にもつながりやすく、人手不足にもリンクする」と指摘し、早急に健康促進に努める必要があるとした。そのために業界団体の連携は必須だとして「業界の会員費で健康を賄うなどの仕組みがあってもいい」と提案した。
労働局は、23年度からの取り組みとして、27年度までに「うちなー健康経営宣言」登録事業場数を5千件以上にすることや、保健指導や治療と仕事の両立支援などの産業保健サービスを提供する事業場の割合を80%以上とすることを目標に掲げている。
定期健診結果は、県内労働基準監督署が報告を受けた延べ1290事業場の受診者11万5686人のデータを基にまとめた。
(與那覇智早)