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【記者解説】「真に戦える自衛隊」加速 継戦能力の向上目指した概算要求に


この記事を書いた人 琉球新報社
陸自石垣駐屯地の開設記念式典に出席し整列する自衛隊員=4月2日

 防衛省が公表した2024年度概算要求には、沖縄をはじめとする南西地域での有事を想定して「真に戦える自衛隊」を目指す防衛省の意向が色濃く表れている。3月に石垣駐屯地(石垣市)が開設し「空白を埋める」作業が完了したと説明した後も、着々と駐屯地を拡張して体制強化を図る方向性が明らかとなった。

 南西シフトの新たな段階として防衛省が重視するのは、戦闘を継続する能力「継戦能力」の向上だ。司令部の地下化や沖縄訓練場(沖縄市)に予定する補給拠点の設置、血液製剤の独自製造も、長く戦い続ける体制づくりが念頭にある。今回の概算要求では南西地域への物資や部隊供給を確保するための輸送力向上も盛り込まれた。

 宮古島駐屯地(宮古島市)への電子戦部隊配備も、実戦を想定した部隊配置の一環だ。防衛省はミサイル部隊などが戦う上で電磁波領域で有利な状況をつくる電子戦部隊の存在が「不可欠」(陸自幹部)とみる。与那国駐屯地には23年度末に電子戦部隊が配備される予定だが、将来的には石垣島などにも配置される可能性がある。

 県内では多くの米軍基地が集中しており、基地負担の軽減を求める声が大勢だ。だが、安全保障環境の厳しさを理由に沖縄の負担は増大しており、この状況を当然視する傾向が政府内でも強まっている。
 (明真南斗)

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