こども家庭庁は1日、希望しても認可保育所などに入れない待機児童が今年4月1日時点で2680人だったと発表した。沖縄県が最多の411人となり、6割が首都圏や近畿圏といった都市部に集中していた。保育需要に偏りが生じ、地域差が浮き彫りになっている。こども家庭庁は今後、待機児童が高止まりしている自治体にヒアリングを実施し、解消策を探っていく方針だ。
全国の待機児童数は、昨年より264人減少。1994年の調査開始以降最少となった。保育所の整備が進んだことや小学校就学前の子どもが減ったことが要因とみられる。全市区町村の86.7%に当たる1510自治体で待機児童がゼロとなった。
待機児童は2016年に「保育園落ちた日本死ね」と書かれた匿名ブログが話題になり、社会問題となった。
都道府県別に見ると、待機児童が100人以上なのは9都府県。東京や大阪周辺の都市圏が主になる。青森や新潟、鳥取など15県ではゼロ。多い順では沖縄が最多の411人となり、埼玉347人、東京286人、兵庫241人と続いた。
保育所などの定員に対し、どれだけ子どもが利用しているのかの割合(定員充足率)では東京や大阪、沖縄などが90%超え。山梨(77.7%)、長野(76.5%)のように全国平均の89.1%を大幅に下回る所もある。
自治体別では、滋賀県守山市が82人で最も多く、津市(57人)、沖縄県名護市(56人)、兵庫県西宮市(56人)と続いた。全ての自治体で100人を下回った。
施設があっても保育士の確保が進まず、利用定員を減らした地域もある。政府は資格があっても保育所などで働いていない「潜在保育士」の復職支援や、保育士の処遇改善を図っていく考えだ。
小倉将信こども政策担当相は1日の記者会見で、待機児童は着実に減っているとの認識を示しつつ「自治体ごとの事情を分析し、連携を取りながら待機児童の解消に取り組んでいく」と述べた。
「特定の施設だけを希望している」「求職活動を休止している」などの理由で集計から除外された「隠れ待機児童」は、4885人増の6万6168人だった。
(共同通信)