有料

ボリビア生まれ県系2世の校長・古木英爾さん チチカカ湖の水質改善にも取り組む 日本語教師で生物学者


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
日本語指導や日本文化普及に携わる古木英爾さん=ラパスボリビア日本文化財団日本語普及学校

 ボリビアの首都ラパス県出身の沖縄県系2世、古木英爾(えいじ)さん。生物学者で、ラパスボリビア日本文化財団日本語普及学校の校長として日本語教師を務めている。日系人が少ないラパスの地で、日本語を指導しながら日本文化を広める活動に尽力している。

 英爾さんは母方の祖父母が金武町出身。1954年、琉球政府の移民団として祖父・安里嗣幸さんと祖母・静子さん、母・良子さんがボリビアサンタクルス県のオキナワ移住地に入植した。72年に良子さんがラパスで仕事をしたことを機に定住し、日系人の男性と結婚。次男として英爾さんが生まれた。

 生物学が専門の英爾さんは、ボリビアを代表する最高学府とされる、ラパス県内のサン・アンドレス大学(略称UMSA、ウムサ大学)を卒業後、隣国チリの大学院でマスターを取得した。生物学者として近年は、大学の研究所でチチカカ湖の水質を改善するためのコンサルタントとして携わっている。

 日本語普及学校では2013年から日本語教員を務め、22年に校長の職に就いた。英爾さんは「日本語教師は母の影響が大きかった」と話す。同学校で母が教師をしていて、父の看病で学校へ行けない際に、英爾さんが代行で学校に行っていた。その後、1人の教師が退職したのをきっかけに教師となった。

 英爾さんは今年で教師として10年目を迎える。ラパスで日本語に興味がある、現地のボリビア人に日本語指導の他、日本文化を広めている。

 「継続は力なり」と話す英爾さん。「これまで成し遂げたもの全てにおいて自分に才能があるというよりも、めげずに頑張った成果だと思う。これまで受け持った生徒や触れ合った人々にもその心得が伝わってほしい。自分なりにできる範囲で『小さなことの積み重ねから始まる大きな成功への道のり』と言った哲学を広めていきたい」と話した。

(安里三奈美通信員)