辺野古裁判敗訴、沖縄県の今後の対応は? 想定される3パターン


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新基地建設現場の名護市辺野古の海域。写真右側の海域は軟弱地盤の存在が明らかになっている大浦湾=2023年8月19日撮影

 最高裁は4日、名護市辺野古の新基地建設を巡る訴訟で、県の上告を棄却した。今後、行政手続きとして想定される県の対応は①変更申請の承認②承認せず、国が代執行訴訟を提起③別の理由による再度の不承認か埋め立て承認の再撤回―の3パターンだ。

 敗訴で県は承認する法的な義務を負うが、行政法の研究者からは、代執行という手段が地方自治法で別途用意されていることから、承認しないことが直ちに違法とはならないという指摘がある。

 地方自治法は「放置することにより著しく公益を害することが明らかであるとき」に、大臣が代執行に先立つ勧告をできると定めている。代執行訴訟では、不承認が著しく公益を害するのか議論される可能性が高い。ただ、今回の是正の指示を巡る訴訟の判決をベースに審理が進められることも想定され、必ずしも県に有利とは言えない。

 ③はどうか。県の敗訴濃厚の見通しとなった後、市民団体などは、今回の不承認理由に挙げていない耐震性能の不備などを理由とした再度の不承認、あるいは埋め立て承認の再撤回をするよう求めている。

 ただ、2020年4月に沖縄防衛局が設計変更を申請してから21年11月に不承認とするまでに、県は1年半以上をかけて審査しており、その際に不承認の理由としなかったことの合理的な説明が求められる。

(沖田有吾)