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「司法が役割放棄」「裁判官が権力志向」 辺野古裁判、県敗訴に疑問の声


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(左から)元山 仁士郎さん、稲嶺 進さん

 辺野古新基地建設を巡り沖縄防衛局が申請した軟弱地盤改良工事の設計変更について、県の不承認に対し国土交通相が県に承認するよう「是正の指示」を出したことの違法性を争った裁判は、県の敗訴が確定した。4年前に建設の賛否を問うた県民投票の関係者らも繰り返す民意無視に疑問を呈した。

稲嶺進さん(前名護市長) 司法が役割を放棄

 稲嶺進前名護市長は県の敗訴を受け、「司法判断があっても、軟弱地盤が存在し、工事が環境破壊につながるという大浦湾の現実は変わらない」として、新基地建設に反対していくことを強調した。「県と国との裁判を見ても、門前払いの扱いをしている。司法が自らの役割を放棄し、国の言い分を追認している。三権分立がこの国にはないに等しいのではないか」と述べ、最高裁の姿勢を批判した。

 反対運動をリードする立場だが、辺野古では工事が続く。「県民は負けたとは捉えないだろう。実質の審議をしないのだから、司法が正しいというわけではないということだ。知事には意見を曲げず先頭に立ってほしいし、われわれはそれを支え続ける。まだ闘いが続くと思っている」と静かに語った。
 (増田健太)

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元山仁士郎さん(県民投票の会元代表) 裁判官が権力志向

 2019年2月の辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票をけん引した、「辺野古」県民投票の会元代表の元山仁士郎さん(31)は、最高裁判決について「県に対する日本政府のやり方に問題があること、政権交代が起きづらい中で裁判官が権力志向に陥りやすく、不健全な状態にあることは、多くの県民が感じている」と指摘した。

 19年の県民投票では投票総数の71・7%、43万4273人の圧倒的多数が埋め立て反対に票を投じたものの県民の思いは顧みられることなく、工事が強行されている。今後県の取るべき対応について、元山さんは「4年前の県民投票で示された民意を基に、県・弁護団には知恵を絞ってほしい。私は諦めない」と強調し、県政は埋め立て阻止へ最善の努力を尽くしてほしいと求めた。
 (中村万里子)