県経済自立を支援 OISTが集中投資制度


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
研究資金供給制度「プルーフ・オブ・コンセプト」(POC)プログラムの利点について説明するアハメド・シャハリアル工学博士=恩納村の沖縄科学技術大学院大学

 ことしで開学4年目を迎えた沖縄科学技術大学院大学(恩納村、OIST)は、より実用化に近い研究に集中的に資金を投入する初の制度「プルーフ・オブ・コンセプト(POC)」プログラムを10月に始めた。

低価格太陽電池の製作やアルツハイマー病の治療のためのペプチド(アミノ酸の結合体)の生成など、五つの研究事業を認定した。研究事業は18カ月以内に民間事業者との契約を結ぶなど具体的な成果を出すことが求められている。「県経済の自立的発展」というOISTの開学精神の実現を後押ししそうだ。
 OISTは、POCプログラムの導入に先立ち、「沖縄の自立的発展」を担当するロバート・バックマン首席副学長の下に、事業開発セクションと技術移転セクションを集約し、知的財産の発掘と管理、特許の権利化、民間企業とのライセンス契約にOIST発の起業を促すなど、研究の実用化に向けた動きを加速させている。
 理学博士でOISTの事業開発セクションと技術移転セクションのリーダーを務める市川尚斉氏は「大学で生まれた発明を権利化して、社会のサービスとして提供する。そのことによってOIST最大のミッションである沖縄の自立的発展につながる」と話した。
 今回、POCプログラムに認定された事業はいずれも、実用化に成功すれば、沖縄から世界でも類を見ない技術が誕生する。エネルギー業界や医療業界などさまざまな分野で技術革新を起こす可能性を秘めており、民間事業者からも注目を集めている。
(吉田健一)