ポストの縁、劇に 南三陸の若者ら 石垣で熱演


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演劇を披露しポストが結んだ友好の大切さを伝える南三陸町の出演者ら=11月22日、石垣市大川公民館

 【石垣】東日本大震災による津波で宮城県南三陸町の歌津地区から竹富町西表島に流れ着いた郵便ポストを題材にした演劇が11月22日、南三陸町の若者らが出演し石垣市大川公民館で開かれた。被災から発見までの1年9カ月の間に、主人公のポストが西表島に手紙を届ける旅に出て、その後南三陸町に帰る様子を表現した物語で、迫真の演技に観客が見入った。

 西表島で発見されたポストは2013年8月に所在地の歌津地区に送り届けられ、八重山出身のBEGIN(ビギン)が発起人となってポスト帰郷を祝う祭りが始まった。3回目となることし8月の開催に向けて、南三陸町の酒屋店長や観光協会職員、アルバイトなど一般町民と沖縄文化空間オーシーズの大城盛裕代表ら沖縄の関係者がチーム「おらも劇場」を結成し、演劇が企画された。
 劇「おけーり(お帰り)うたつのポスト君」は大城代表が脚本を手掛けた。物語は、津波で流されたポストがウミガメや鳥、サメなどに出会いながらハワイを回って西表島にたどり着き、少女から受け取った手紙をイリオモテヤマネコに届ける。その後、歌津に帰ったポストを地元の人たちが元気いっぱいに出迎え、ポストをきっかけに生まれたつながりの大切さを伝えている。
 今回は石垣市の空手道場に通う子どもたちも出演し劇を盛り上げた。
 サメ役などを務めた南三陸町の佐藤裕さん(22)は「復興にはまだ程遠い。ただこうして演劇を通してつながりを実感できてうれしい。支え合いながら頑張っていく。南三陸町にも遊びに来てほしい」と話した。
 演劇は8月の地元祭りに続き、2回目の披露となった。大城代表は「各地で披露され、心の和が広がる演劇になったらうれしい」と期待した。
 最後はビギンが曲を披露し、参加者全員で被災地の早期復興や交流の発展を願った。