障がい者「差別」相談122件 14年度県調べ


社会
この記事を書いた人 志良堂 仁

 県障害福祉課は2014年4月に施行された「県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例(共生社会条例)」に基づく「差別」に関する相談が14年度は県と市町村に122件あったと、22日発表した。県は「障がいの特性を知らないことでトラブルになっている例が多い。寄せられた相談を障がい理解への普及啓発に生かしたい」としている。

 122件のうち、条例対象となる障がいを理由とした差別、または不利益取り扱いに関する相談は1件、合理的配慮に関する相談は2件だった。119件は条例の対象外のつらいことや嫌なことに関する相談、意見、要望だった。条例対象外も含めた相談内容では福祉サービスに関することが最も多かった。
 差別または不利益取り扱いに関するものは、障害者福祉施設の利用時に条件をつけられたという内容。県の広域相談員が事実確認をした上で、相談者と事業所、相談員を交えた3者での話し合いや改善策の提案など調整活動を実施した。事業所から謝罪や改善策が示されたことで解決した。
 合理的配慮に関する相談は、町営団地で駐車場から自室の間に段差があり、車いすだけで自室に行けないという内容などがあった。
 相談は障がい者への差別解消の支援策の一つ。市町村の差別事例相談員と県の広域相談専門員が連携して取り組んでいる。相談員が調査、分析、解決など調整に入るには、相談者の同意が必要。条例対象外の相談には「事業所には文句を言えない」「サービスを利用しづらくなる」などの理由で、相談者が調整活動を求めなかったため、対象外となった例も含まれている。
 県障害福祉課は「調整に至らなかった相談にも差別や合理的配慮の欠如に当たる可能性が高いものもある。寄せられた事例を研修などの場で紹介したい」としている。