非常勤 育休取得できず 条件困難、現実と差


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西原町の特別職非常勤として働く女性。来年4月の出産を控えるが、制度があるものの育休対象外で制度の改善を訴えている=西原町内

 【西原】西原町役場の妊娠した非常勤の女性が、非常勤にも育休制度があるにもかかわらず、取得条件に合わず来年3月で退職せざるを得ない状況となっている。同町の条例の条件では限られた時期に妊娠・出産を“調整”しなければ誰もが取れるものとはなっていない。女性は26日、取材に対し「条例の運用が難しい制度になっている。制度を改善しなければ、今後私と同様に出産で退職せざるを得ない人が出てくる」と話し、誰もが産休・育休を取得できる環境への改善を求めている。

 女性は資格を持つ特別職非常勤で、来年4月に出産を控えている。妊娠が分かり非常勤のため退職せざるを得ないと考えていたが、新聞報道で西原町にも育休制度があることを知り、担当課などに相談してきた。
 町が定める特別職非常勤の育休の取得条件は(1)在職期間が1年以上(2)雇用契約期間の3会計年度までに子が1歳になることとその後も任期が残っていること―などとなっている。これまで3人から育休の相談があったが条件が合わず非常勤の育休取得実績は1人だけ。女性は(1)の条件は満たすものの(2)が該当しない。町の非常勤職は1年更新で、通常3年まで延長される。特別職は最大5年の延長が規程で認められている。女性の場合来年3月で3年となり、3月で契約が切れる可能性が高い。
 町役場総務課の担当者は、条件が厳しいとの認識を示しつつ「人事院の規則に準じて定めている。規定の見直しの検討は今のところはない」と話した。
 非正規公務員が多く加盟する自治労連・県公務公共一般労働組合の長尾健治委員長は「妊娠の時期によって利用できない人が出るのは、現実に即していない。産休・育休の実績が少ないのは行政側の怠慢だ」と指摘。「制度があるのに利用者がいない自治体は多い。制度の周知と同時に現実に即した制度に変えることが必要だ」と話した。