教員、「政治的中立性」確保に不安 18歳選挙権、県選管が初調査


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 県選挙管理委員会は28日までに1日に開いた2015年度県選挙啓発指導者研修会に参加した高校教員90人を対象に行った選挙権年齢が18歳以上に引き下げられることに伴うアンケート結果を公表した。授業で主権者教育を行う場合、どう「政治的中立性」を確保することができるかについて悩む高校教員の実情が浮き彫りになった。特別支援学校での主権者教育の方法に苦慮する声もあった。県教育庁は教員らの要望に応え、年度内にも主権者教育の授業について具体例を示したガイドラインを策定する。

 県選管が明るい選挙推進協議会と合同で行った研修会は、生徒に政治参加の意識を促す主権者教育を実施する教職員を支援するため、初めて開催した。
 アンケートでは研修会で学びたかった項目や今後研修を実施してほしい項目について聞いた。回答した高校教員84人の中で最も多かった項目(複数回答)は「政治的中立性の確保」(73人)で、次いで「主権者教育の実施方法」(70人)と「生徒の選挙運動等に関する規制」(65人)が続いた。
 研修会への意見や感想を求める自由記述の欄では「主権者教育の必要性は強く感じているが、現実の業務の中でどこまで扱えるのか心配だ」「中立の難しさをあらためて考えた」などの声が上がった。
 その他にも「特別支援学校ではどのような主権者教育を行えばいいのか」などの意見もあった。県選管は「代理投票や点字投票などの周知などで、学校を支援したい」としている。
 県明るい選挙推進協議会の照屋寛之会長は「“中立”に過敏に反応して政治的な問題を教育現場が避けてきたため、国内では主権者教育が育ってこなかった」と指摘。「主権者教育では現場教員と県教委の意見交換などが大切だ」と強調した。
 県教育庁は「主権者教育では多様な意見を生徒に紹介し、生徒の意見を引き出すような授業展開をしてほしい」と話した。主権者教育に対する教員の不安を取り除くために、来年2月にも研修を開く予定だ。(安富智希)