被災地合唱団、糸満で歌声 宮城・塩釜の子どもら招待


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 【糸満】宮城県塩釜市を中心に活動する「ゆずりの葉少年少女合唱団」が昨年の12月24日に初めて沖縄を訪れ、糸満市内でミニコンサートを開催した。2011年に発生した東日本大震災支援のため、糸満市は2013年から約2年間、市職員を塩釜市に派遣した。被災地での市職員と同合唱団との出会いがきっかけとなり、団員たちを沖縄に招く計画が実現した。

 塩釜市に派遣されたのは糸満市職員の玉城達也さん(34)。塩釜市役所で2年間勤務した。沖縄に戻ってからも「被災地の子どもたちに元気になってほしい」との思いがあり、糸満市観光農園で開催する「いとまんピースフルイルミネーション」に同合唱団を招待することを市に提案。
 市や市内関係団体でつくる「平和の光事業実行委員会」が実現化に向けて取り組み、11月に開催された「糸満フェア」で塩釜市の商品を販売したり、協賛金を募集したりして合唱団の招待が実現した。
 合唱団の団員約30人が気温差約20度の沖縄を訪れた。2日間にわたり糸満市役所とサザンビーチホテル&リゾート沖縄、糸満市観光農園でコンサートを開き、伸びやかで美しいハーモニーを堂々と披露した。
 メンバーの阿部壮佑さん(19)は「震災を機に歌う意味が大きく変わった。それまでは自分の楽しみのために歌っていたけど、震災後は僕たちの歌を聞いて喜んでくれる人たちのために歌うようになった。沖縄の人たちにも温かく歌声を聞いてもらえて力をもらった」と話した。

伸び伸びと歌う「宮城県塩釜市ゆずりの葉少年少女合唱団」の団員たち=2015年12月24日、糸満市のサザンビーチホテル&リゾート沖縄