差別ない社会訴え ハンセン病、HIV題材に劇


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 ハンセン病とHIVを題材にした演劇「光りの扉を開けて」(HIV人権ネットワーク沖縄主催)が昨年12月26日、那覇市の県立博物館・美術館であった。県内の若者たちがそれぞれの役を通して偏見と差別によって社会から排除されることの悲しみ、その人らしく生きられるように周囲が正しく病気を知ることの大切さを訴えた。昼と夜の部合わせて360人が来場し、偏見と差別の愚かさを重く受け止めていた。

「少しの違いで差別することは許されない。皆平等な命だ」とメッセージを送るハンセン病回復者の金城幸子さん(中央)=昨年12月26日、県立博物館・美術館

 劇は、HIV感染を告げられた主人公の女子高生「めぐ」が、元ハンセン病患者の「八重子おばあ」との出会いを機に、友人らの理解と支えを得て生きる勇気を持つまでを描く。八重子おばあの語りを通して、強制隔離政策を取ってきたハンセン病の過ちと向き合い、病気を理解し、共に生きることの大切さを伝えた。涙を拭いながら劇に見入る観客もいた。
 閉会のあいさつでは、八重子おばあのモデルの1人となったハンセン病回復者の金城幸子さん(75)が登壇。金城さんは差別や人権問題の語り部として県内各地を回り、同演劇の上演で全国を巡回する若者たちに同行している。
 「この子たちは悩みや悲しみを抱えながら、心と心をぶつけて演じている。世界一の孫たちだ」と熱演をたたえ「少しの違いで差別することは許されない。皆、大切な尊い命で幸せになる権利がある。心一つに平等になれる社会がつくれればいい」と呼び掛けた。