琉球の工芸品復元へ X線調査で製法解析


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
最先端の機器を用いて文化財の物質を調べるX線調査。琉球王国時代の聞得大君御殿の簪も分析された=14日、那覇市の県立博物館・美術館

 県立博物館・美術館(安里進館長)は12日から、琉球王国時代に作られた工芸品など50点以上を復元するため、最先端の機器を用いた化学(X線)調査を実施している。

 14日、報道関係者に調査の模様を公開した。当時の陶器や金工品、陶芸品などの材料や製作方法を知るためで、博物館などが所蔵する陶芸作品の同調査は県内初という。2019年度までに復元品展示を目指している。
 14日は県有形文化財の聞得大君御殿(きこえおおきみうどぅん)の黄金の簪(かんざし)などを調査した。簪には金、銀、銅などが混ざった鍍金(ときん)(メッキ)が使われていることが分かった。15日まで約20点が調査される。
 東京文化財研究所の協力を得て最新機器と専門家を招き実施。X線を物質に当てると物質ごとに反射の仕方が変わるという特性を生かし、陶器の染料や材料を分析した。
 文化財を壊したり削ったりせずに物質が分かる利点がある。調査で得られた基礎データを基に塗料や製法を考察する。
 復元事業では、円覚寺の仁王像など戦災で破損した文化財も多く含まれている。
英文へ→X-ray analysis of manufacturing process of Ryukyu crafts