国場川に架かる真玉橋から爬龍橋までの約700メートルの歩道沿いを歩くと、護岸部分の雑草がきれいに刈り取られ、植栽された花々が道行く人々を和ませる空間となっていることに気付く。それはボランティアで清掃活動に取り組む那覇市国場の平安名常功(へいあんな・じょうこう)さん(84)が十数年かけ、こつこつと整備した努力のたまものだ。1年のうち梅雨時や大雨の時を除いて毎日活動する平安名さん。「きれいな状態を維持し続けたい」との思いを胸に、きょうもライトを照らしながらの早朝作業に汗を流している。
平安名さんが清掃活動に取り組むようになったのはまだ“勤め人”だったころだ。国場川沿いでのウオーキングを日課としていたが、仲間の一人がごみ拾いをしながら歩くのを見て、共に取り組むようになった。
清掃活動を本格的に進めると、護岸部分に生い茂るギンネムで国場川の風景は見えず、さらに大量のごみが隠れるように散乱していることに気付いた。
「国や県も十分には管理できないので、自分がしようと思った」。国道329号沿いの区間に限定し、約4カ月かけてギンネムを伐採した。
護岸部分には升状の区画が連なっており、堆積していた枯れ草に土を混ぜ込んで花壇として整備した。
周辺に水道がないため升部分に貯水できるようにし、渇水時には排水溝からポンプで水をくみ上げる仕組みも考案した。ボランティア団体として県の補助を受けているが、年間5万円の活動費を超える大部分を自費で賄い続けている。
毎日のように清掃して花々の手入れをしても、不法投棄をしたり、大切に育てた桃やツバキを根こそぎ持ち去る人々が後を絶たない。
それでも平安名さんは「裏切られた気持ちにもなるが、ここの環境を少しでもよくしたい」とほほ笑み、活動継続に意欲を示す。
共に活動している仲村良宜さん(74)と二人三脚で美化に取り組む日々だが、少しでも作業の手を止めると、元のごみと雑草だらけの環境に戻ることは目に見えている。平安名さんは「誰か1人でも活動に参加してくれることを期待している」と語り、活動の輪が広がることを願った。