県保持者28人競演 琉舞名人芸、新年飾る


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芯のある「前の浜」を踊る花岡勝子=9日、浦添市の国立劇場おきなわ
「志情の手巾(男加那よー)」を踊る眞境名結子=10日
「花風」で切なさをにじませる玉城千枝=10日

 国立劇場おきなわの「新春琉舞名人選」が9、10の両日、浦添市の国立劇場おきなわで開催された。県指定無形文化財「沖縄伝統舞踊」保持者の踊り手28人が競演した。卓越した名人芸で新年の幕開けを飾った。

 両日ともに山田多津子、島袋君子の「かぎやで風」で始まった。「花風」は9日の我那覇則子、10日の玉城千枝ともに気品や抑えた哀切がにじみ、見応えがあった。地謡の「二揚下出し述懐節」も聞き事(ちちぐとぅ)だった。
 花岡勝子は力強さだけではない円熟味のある「前の浜」を見せた。渡嘉敷流独特の手も興味深い。比嘉涼子は長い手足を生かして美しい「諸屯」を舞った。
 比嘉美好、金城光子の「高平良万歳」は二段ガマクでのわずかな乱れが惜しまれたが、息の合った踊りを見せた。海勢頭あけるは比嘉清子の創作「みやらび」を踊った。おおらかさが魅力の作品だが、海勢頭の洗練された持ち味が加わった。
 玉城靜江は小柄な体を補い、めりはりのある「伊野波節」を踊った。眞境名結子は創作「志情の手巾(男加那よー)」を踊った。「加那よー」を男踊に仕立て、後段に「赤山節」を加えた作品。絶妙な間、身のこなしで魅せた。
 ほかの踊り手と演目は9日が又吉世子「女こてい節」、渡久地美代子「作田」、宮里敏子「汀間当」、安次富紀子「本貫花」、金城清一「護身の舞」、船越節子「瓦屋」、高江洲清勝「加那よー」、大城和子「稲まづん」。
 10日は金城千壽子「女こてい節」、古謝弘子「本花風」、嘉数紀美子「稲まづん」、山城洋子「柳」、漢那七子「諸屯」、宜保雅子「瓦屋」、池原勝子「加那よー」、宮城能造「天川」、金城道枝「小浜節」。
(伊佐尚記)