心残る時を過ごして 阿刀田、奥田さん講演 JTフォーラム


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軽快なトークを楽しんだJTフォーラムの来場者=21日、那覇市のANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー

 「JTフォーラム~ひとのときを、想う。~」(主催・琉球新報社、協賛・JT)が21日、那覇市のANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービューであった。作家の阿刀田高さん(81)が演題「軽く、楽しい読書を」、映画監督で俳優の奥田瑛二さん(65)が演題「映画は人生、そして家族」で講師を務めた。2人は活動や体験に基づく「ひとのとき」についてユーモアを交えて軽快に語り、来場者約370人を魅了した。

阿刀田高さん

 阿刀田さんは作家デビューする以前、国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続けた。現在、山梨県立図書館の館長も務める。阿刀田さんは図書館の蔵書数と質、本の知識に詳しい人材(図書館員)の配置が重要と指摘した上で、「私の子ども時代、冷房が効いた立派な場所でなくても廊下の隅や芝生の上でも本を読んだ。重要なことは面白い本があるかどうかだ。1回、2回、3回と読むたびに本の味わいは変わる」と読書の魅力を伝えた。

奥田瑛二さん

 奥田さんは俳優と映画監督を志したきっかけや現在までの活動を振り返り、妻・安藤和津さん、映画界で活動する2人の娘への思いを語った。
 奥田さんは「自ら歩んだ道のりを振り返ることは単に過去を思い返すことではない。生きてきた自分の責任を確認することだ。流れてきた懐かしい曲やコーヒーといった懐かしい味など、振り返る時はいくつもあり心の中の時間は無限大だ。そうすることで明日も頑張って生き、ここから始めようと思える」と話した。