10周年ツアー、沖縄から かりゆし58


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CDデビュー10周年を迎えたかりゆし58の(左から)前川真悟、新屋行裕、宮平直樹=那覇市の琉球新報社

 「アンマー」などで知られる、県出身ロックバンド「かりゆし58」が2月、デビュー10周年を迎えた。22日には10周年記念ベストアルバム「とぅしびぃ、かりゆし」を発売。20、21の両日には桜坂セントラルから全国ツアーをスタートさせる(20日は完売)。メンバーが10年を振り返るとともに、沖縄への思いなどを語った。

 現メンバーは前川真悟(ボーカル・ベース)、新屋行裕(ギター)、宮平直樹(同)、中村洋貴(ドラム)。2005年に結成し、ミニアルバム「恋人よ」でデビューを果たした。メンバーは「振り返るとあっという間だが、振り返ると一つ一つの思い出が懐かしい」と感慨深げに話す。前川は「優劣は付けられないが、デビューできたことが一番大きかったかな」と振り返った。
 ベストアルバムには再録のほか、新曲3曲も収録した。初期の名曲「オリーブ」も「(当初の曲と今回再録した曲を)双子のようなもので、どちらもいとおしい」と笑う。「今回はタイムマシンに乗る感覚でセルフカバーした。あのころよりも良くなると思ったが、拙いながらの良さを出せたのもあの時だけだった」と話す。
 新曲「初恋夜道」は甘酸っぱい歌詞と彼ららしいロック調に乗せた。「バンドも10年経過し、僕らも10歳年を取って。中高生が登場するような曲が減ってきているように感じた。その中で青春時代に片思い、時代を取り戻す感覚で作った」と話す。「曲を例えるのはおかしいが、『アンマー』も、もう曲を作れるのは最後のチャンスで『大事な人のために作ろう』と思った曲がああいう形(大ヒット)になった」と話す。
 ドラムの中村は昨年12月に、本人の意志と反して体を動かすことのできない症状「フォーカル・ジストニア」で活動を休止することを発表。10周年の節目に共にツアーを回ることができない。それでも、その悔しさをファンに感じさせないメッセージをホームページに掲載した。
 前川は「洋貴が外から自分たちの演奏を初めて見たときに『良いバンドだな』と言ってもらえた。10年の節目に洋貴がいないことはネガティブに見えるが、全てが有意義な出来事だ」と語った。
 メンバーにとって沖縄は「東京で聞くBEGINに励まされたり、ネーネーズに泣かされたり。離れた街に住んで帰りたくなる気持ちも含めて、お守りのような場所」という。節目のライブに「沖縄の人が応援してくれるから県外に出ていけた。10周年で初日が沖縄というのは意味のあるライブになると思う」と話した。