製糖4月まで延長 長雨で収穫遅れ、糖度低下


この記事を書いた人 Avatar photo 金城 潤
刈り取られ畑に積まれたサトウキビ=19日、八重瀬町後原

 1月から続く天候不良の影響で、各地でサトウキビの収穫遅れや製糖工場の稼働率低下が目立っている。例年3月までの収穫だが、4月まで長引くことが確実視されており、キビの糖度低下や来年度産に向けた肥培管理などの影響が懸念されている。

 沖縄気象台によると、1月の沖縄の平均降水量は過去最多だった。1981~2010年の過去30年間の平年比約2・5倍。地域差はあるが、2月も引き続き平年を上回る見込みだ。
 12月から操業を開始した石垣島製糖は、1月の長雨の影響について「1月の約3分の1は休業を余儀なくされた。(製糖作業が)4月にずれ込むのは確実」と話す。同社は7日から製糖作業を再開しているが「今期は非常事態だ。糖度も例年に比べると低い」と長雨による品質低下を指摘した。12月から1月というキビの糖度を蓄える時期に、暑さが続いたことや長雨の影響でキビが水分を吸いこみすぎているという。
 沖縄製糖の宮古工場は、悪天候が続いた影響で一時工場の運転を停止した。6、7日に天候が回復し、農家らが刈り取りを急いだため、現在も刈り取られたキビの回収が後手に回る状況が続いているという。
 本島の製糖作業を担うゆがふ製糖は、18、19日の2日間、キビの搬入を一部停止した。今期の生産量が、当初見込みより1万トン増の約15万5千トンとなり、予想以上の処理をしたため、機械の一部故障が発生。2日間だけ搬入を停止した。収量の増加や天候の影響などもあり、製糖期間終了を当初の3月22日から4月まで引き延ばし、収穫に余裕を持たせたという。
 JAおきなわは、長雨による収穫作業の遅れは品質低下だけではないと指摘する。ある職員は「この時期離島に労働力として来る季節労働者らは、4月には帰る。そうなると離島は(労働力が減り)大変だ」と労働力不足も指摘する。