児童養護施設の退所者、県が支援へ 生活費を無利子貸し付け


この記事を書いた人 志良堂 仁

 県は、児童養護施設の退所後に進学や就職をする人の家賃や生活費を貸与する無利子の貸付事業を新たに実施する。国の9割補助事業で、一定期間就労を継続すれば返還を免除する。本年度補正予算で1億円を計上しており、新年度から事業を始める。実質的な「給付」事業として自立支援につなげたい考えだが、関係者からは事業を評価した上で就業期間条件の緩和を求める意見が上がっている。

 貸し付けは家賃補助(月3万2千円)、生活費(月5万円)、資格取得(上限25万円、1回限り)の三つ。進学者は全ての貸付金を在学中受けられる。就職者は2年間の家賃と資格取得の貸付金を受けられる。資格取得貸し付けは2年間の就業継続で、家賃、生活費貸し付けは5年間の就業継続で返還が免除される。
 社会的養護が必要な子どもたちが暮らす児童養護施設は高校卒業時の18歳で退所しなければならない。退所後の支援が不十分なため進学後の学業とアルバイトの両立が難しく、途中で断念する例や、最初から進学を諦める例も少なくない。
 県児童養護施設協議会の宮城光宏副会長(美さと児童園園長)は「施設出身者は2、3年で勤務先が変わることが多い。実態を踏まえ就労期間条件を緩和してほしい」と要望している。