与那国「日本の入り口」 国立科学博物館、古代航海再現へ意義強調


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「3万年前の航海徹底再現プロジェクト」に向けて開かれた説明会=22日、石垣市健康福祉センター

 【八重山】日本列島に人類が入ってきたルートを探るため、台湾から与那国島への航海を再現する国立科学博物館「3万年前の航海徹底再現プロジェクト」の説明会が22、23の両日、石垣市と竹富町で開かれた。プロジェクトチーム代表の海部陽介・国立科学博物館人類史研究グループ長は「与那国島は日本の西端ではなく、日本の入り口だった」と八重山の歴史的価値を説明し、航海に使う草舟造りなどプロジェクトへの参加を呼び掛けた。

 航海の再現に向けては、一般から寄付を募るクラウドファンディングで資金を造成した後、7月に与那国島から西表島への実験航海を実施し、来年7月には台湾から与那国島への渡航に挑戦する計画だ。ただ与那国―西表航海は目標の2千万円達成が必要で、プロジェクトチームは多くの支援を呼び掛けた。
 事業の一環で、与那国島に関連の記念碑を建てる計画もしているという。
 石垣市の説明会で、海部代表は南西諸島の島々周辺に広がる海底の構造や生物の種類などから、当時から島だった可能性が高く「人類が台湾から舟で渡ってきた」と推察し、プロジェクトはそれを立証し人類の歴史に迫る航海実験になると意義を強調した。
 旧石器時代の人骨が発見された石垣市にある白保竿根田原(さおねたばる)洞穴についても、人類の足跡を証明する貴重な遺跡として「地元のために活用してほしい。人の歴史の素晴らしさを見つめ直し、発展性のあるプロジェクトにしたい」と話した。
 出席者は「(当時の人類は)なぜ渡ることに挑戦したのか」などと興味津々に質問していた。
 プロジェクトは与那国町、県立博物館・美術館、特定非営利活動法人国境地域研究センターが協力している。詳しくはウェブサイトhttps://readyfor.jp/projects/koukai