【沖縄】2015年11月の高校卒業程度認定試験(旧大検)で沖縄少年院から4人が合格した。同院からの合格者は初めて。4人が一度に合格するのは九州の少年院で初で全国でも珍しい。1人の少年(19)=本島南部=は「母に初めて親孝行できた。社会に迷惑を掛けたこれまでの生活と決別し、立派な大人になりたい」と合格証書を手に更生を誓った。
試験は文部科学省が年2回実施し、高校を卒業していない人に高卒と同等の学力があるかを認定する。07年度から社会復帰支援や再犯防止の一環で少年院や刑務所でも受験可能になった。
沖縄少年院から6人が受験し4人が合格した。残る2人は受験後に仮退院して結果は不明。合格者は3人が中卒者、1人が高校中退だった。院で受験希望者を募り、日課とは別に学習時間を設け、県外から講師を招いて講義を開いた。
取材に応じた少年は母子家庭に育ち、中学1年の後半から学校に行かなくなり、友人と非行を重ねた。少年院は2度目。
1度目の退院後、就労が安定せず生活が乱れ、1年未満で再入院した。2度目の少年院生活で「指導を受けるうちに少しずつ自分と向き合えるようになった」という少年は、高卒認定試験を知り挑戦を決めた。
1日平均4時間の学習を続けた。「応援してくれる家族や先生(教官)を裏切れない」と机に向った。約2カ月半の学習期間で全科目合格した。
家族に手紙で合格を報告すると、すぐに面会に来てくれたという。少年は「二度と母を悲しませないよう、家族を支える柱になりたい」と決意を語った。
少年は今春で出院予定。就職先は決まっており、社会生活になじみながら、将来は大学か専門学校に進みたいと考えている。
取材に応じたことについて「こんな自分でもできた。学歴や資格がなくて不安な生活を送っている人がいたら、挑戦できるんだと思ってほしい」と話した。
同院の竹村豊次長は「達成感が得られる。職を得る機会や職域が広がる。希望した職に就ければ定着率も上がり、再犯防止につながる」と意義を語った。