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性暴力被害者に寄り添い28年 救援センター「REICO」が今月で活動終了


性暴力被害者に寄り添い28年 救援センター「REICO」が今月で活動終了 28年間の活動を振り返る高里鈴代さん=19日、那覇市内
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 強姦救援センター・沖縄「REICO(レイコ)」は今月で28年間の活動を終える。1995年の米海兵隊員による少女乱暴事件を契機に設立され、性暴力被害者からの相談の受け皿となってきた。2015年に県性暴力被害者ワンストップ支援センターが設立し、公的な機関が役割を担うようになり、REICOへの県の助成金がなくなって相談員への報酬もほとんど出せなくなったことで「民間の役割は終わった」と終了を決めた。

 代表の高里鈴代さん(83)は「性暴力の被害者は沈黙を強いられてきたし、被害を訴えられない社会がまだ続いているというのが、支援に携わってきた私たちの実感だ」と語り、被害者に責任をなすりつけるような社会を変えていく必要性を指摘する。

 95年当時、性暴力被害者が相談できる公的な機関はなかった。事件を受け、高里さんは女性たちと連日集会を開き、県に相談機関の設置を求めた。県が設置するには時間がかかるため、「自分たちでつくろう」と立ち上げを決めた。

 精神科医の協力を得て相談員を養成。10月の県民総決起大会でチラシ2000枚を配布し、NTT労組の協力で電話機と1年間分の通信費の支援が得られた。95年10月25日午後7時に電話相談を始めた。「ちょうど午後7時に、5年前に米兵に暴行されたという女性から『自分の時もこういう電話があったら』と感謝の電話がかかってきた」

 28年間で電話相談は延べ4336人、カウンセリングは297回、同行支援145回、裁判支援は6件に上る。「相談の多くが身内や知り合いからの性暴力。大学や行政機関でも起きている。特に身内からの被害は訴えづらい」と指摘する。

 これまでの支援経験や性暴力のない社会を訴える「フラワー・デモ」に触れ、「性暴力は魂の殺人と言われ、何年たっても被害者には終わりがない。沈黙を強いられてきた女性たちの存在は、いかに性暴力の被害者に落ち度や責任を求める社会であったかを痛感する」と語る。

 28年間の活動を振り返るシンポジウム「活動の軌跡」を24日午後2時半から5時半まで、那覇市の県立博物館・美術館で開く。(中村万里子)