子ども支援施設開設 元非行少年「自分が支える側に」


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開所式に出席したHOMEメンバーと関係者。前列右から4人目が仲座大二さん=28日、北谷町吉原

 【北谷】北谷町の元非行少年らでつくるボランティア団体「HOME(ホーム)」が28日、北谷町吉原に子ども支援施設を開いた。代表の仲座大二さん(24)=沖縄大学4年=は少年院に入った自身の経験から「公園でたむろする以外の居場所があると子どもたちに感じてほしい。心の貧困から1人でも多くの子どもを救いたい」と意気込んでいる。

 仲座さんは中学1年のころからバイクでの暴走など非行を重ね、18歳で少年院に入った。送致が決まった際「守ってあげられなくて、ごめんね」と話す母の涙を見て、初めて罪と向き合った。その後、働きながら通信制高校を卒業し、大学に進んだ。「多くの大人が厳しさと優しさで支え、後押ししてくれた。今度は自分がその立場になりたい」と語った。
 ホームは2014年に発足し、海辺の清掃活動などを続けている。メンバーは暴走や非行の過去を持つ20代から40代。仲座さんは「過去もさらけ出して子どもたちと付き合いたい。自分たちも変われて今こうして頑張っていることを伝えたい」と強調した。
 施設の開所式が28日行われ、地域で少年の健全育成に取り組む関係者らが集まった。川上啓一町教育長は「子どもの貧困対策と青少年支援は連動しなければならない。社会のために頑張る青年たちを地域で見守って支えたい」と話した。
 施設では主に非行などの問題を抱えている沖縄署管内の中学生や中卒進路未決定者を対象とし、学習や就労を支援する。平日午後6時から9時まで開所し食事を提供することなどを想定している。開所準備に向けた改装には山内中学校の生徒たちも加わった。
 仲座さんは「子どもたちが素直に感情を表現できる場にしたい。エネルギーを振り向ける方向が分からず、悪い事をして目立とうとしてしまう。いい事で目立てば、周囲にも認められる」と述べた。