本島北部や離島地域で航空機を使った医療支援を行うNPO法人メッシュ・サポート(塚本裕樹理事長)は22日に県庁で会見を開き、休止していた医療用小型飛行機の活動を10月1日に再開すると発表した。2022年3月に伊江島空港で訓練中に墜落。およそ1年半に渡って運航できなかったが、日本財団から1億6600万円の助成を受け、新たな小型機を購入した。活動再開で離島やへき地における医療格差の改善に期待が懸かる。
購入した小型機は米ビーチクラフト社製「バロン」というタイプで、左右の主翼に1基ずつエンジンを搭載する。新たにパイロット2人、整備士2人を採用しており、現在県外で運航に向け整備中という。コロナ禍で小型機の需要が伸び、円安も影響して調達に時間を要したという。
メッシュ・サポートはかつてヘリと小型機の2機を所有。小型機は奄美群島から宮古、八重山までを対象に県のドクターヘリや自衛隊機が対応できない患者搬送や帰島搬送、医師の離島派遣などを担ってきた。15年の運用開始から計199件の活動実績がある。
しかし、22年3月に伊江島空港で墜落事故が発生、機体は大破しパイロットら乗員2人が死亡した。国土交通省運輸安全委員会が事故について調査しており、メッシュ・サポートは報告書がまとまるのは過去の事例から2、3年はかかると推測している。
塚本理事長は事故調査中での活動再開について「離島の医療機関などからは再開を望む声がある」「(搬送)実績を積んでいくので、事故報告書の内容も踏まえトータルで評価してほしい」などと説明した。「運営は厳しいが、皆さんに応援していただく限り、やれることに取り組んでいきたい」と引き締まった表情で語り、県民に事業への理解と協力を求めた。
(小波津智也)