【浦添】第77回浦添市戦没者追悼式が10日、浦添城跡内の浦和の塔前で行われた。松本哲治市長や市遺族会、市内の中学生で構成する市ピースメッセンジャーら約60人が出席した。沖縄戦で激戦地となった前田高地に建立された浦和の塔を前に、参列者は戦争の記憶の継承と、世界の恒久平和を願い手を合わせた。
沖縄戦当時、浦添村は首里にあった第32軍司令部への米軍侵攻を防衛する中心地となり、中でも前田高地では激しい防衛戦が繰り広げられた。浦添では沖縄戦で、9千人余りの村民のうち、4割が犠牲になった。
当時3歳だった弟をはじめ家族4人を亡くした市遺族会の宮城實会長(82)は「(浦添は)多くの民間人が犠牲になった激戦地。大戦が終結してから78年の歳月がたつが、戦没者遺族にとって、決して忘れ去ることはできない」と声を詰まらせた。「二度とあのような悲惨な戦争による遺族を出さない活動を継続していきたい。沖縄戦を風化させてはいけない。その語り部として努力していくことを誓う」と語った。
市ピースメッセンジャーの10人の生徒は「平和を未来へ」と題した平和メッセージを朗読した。
ピースメッセンジャーの浦西中2年の生徒は「戦争を二度と繰り返さない、という平和への意思を受け継いでいきたい」と話した。
(藤村謙吾)