沖縄県教委が控訴せず 一部開示の判決確定へ 採取地などを開示 琉球遺骨情報開示訴訟


沖縄県教委が控訴せず 一部開示の判決確定へ 採取地などを開示 琉球遺骨情報開示訴訟 百按司墓=今帰仁村
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 今帰仁村の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」などから持ち出された琉球遺骨の返還を求める団体「ニライ・カナイぬ会」が、県教育委員会による関連文書の一部黒塗り開示を不服として開示を求めた訴訟で、県教委に開示を命じた那覇地裁判決について、県教委は12日までに控訴しないことを決めた。13日の控訴期限で判決が確定するのを待ち、事務手続きを経て「近日中に開示する」と話している。

 那覇地裁は9月28日、県教委による一部の不開示は違法だとして、一部の情報開示を命じる判決を出した。開示を命じたのは、2019年に台湾大学(旧台北帝国大学)から県教委に遺骨が移管された際に作成された「移管台帳」内の「頭蓋骨標示」の部分。遺骨の採集場所とされる地名などが記されている。

 県と県教委に控訴しないよう申し入れていたニライ・カナイぬ会の仲村涼子共同代表は「良かったし当然だ」と話した。

 一方、遺骨の一般的な取り扱いについて、「県教委から今後の対応が示されないことに懸念も拭えない。今後は遺族の同意を得て研究することや情報の積極的な開示、盗まれた遺骨をそれぞれの地域の墓に戻すなどの対応の指針を県教委として定めてほしい」と求めた。
 (嘉数陽、中村万里子)