やまぬ犯罪に憤り 米兵女性暴行きょう抗議集会


この記事を書いた人 Avatar photo 金城 潤

  平和・市民団体などでつくる「基地の県内移設に反対する県民会議」は21日午後2時から、米兵による女性暴行事件に抗議する「緊急県民抗議集会」を名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で開く。21日の緊急抗議集会を前に、1995年の大会で実行委員長を務めた当時の県議会議長で元衆院議員の嘉数知賢さん(74)と、米兵による沖縄女性への性犯罪を考察してきた琉球民族独立総合研究学会共同代表の親川志奈子さん(35)に話を聞いた。

人間の尊厳の問題 嘉数知賢さん(95年県民大会・実行委員長)

 報道で事件を知った時は腹立たしさ以外になかった。基地あるがゆえの悲しい事案であることは否定できない。米軍は沖縄が占領地であるという意識が依然として強いのではないか。率直に言って、基地がない方がよいと思う。基地の存在は沖縄の地理的不幸の側面と言える。
 県内では、米兵による住居侵入や飲酒運転事故なども絶えない。綱紀粛正を図る、という反省の言葉が毎回出てくるが、こんなにも事件が続くと空々しい思いがする。一般の兵士への指導は当然だが、指揮官級の徹底的な意識改革が必要だ。上が下をしっかりと目配りする体制をつくってほしい。また繰り返されたでは済まないことだ、という認識を、米軍は持つべきだ。
 観光への影響は本質ではない。根本は人間の尊厳の問題であり、そこを見据えて抗議しないといけない。県や国は言うべきことはきちんと米軍に伝える姿勢を崩してはいけない。そのためにも意見が言い合える関係を築くことも重要だ。

基地撤去しかない 親川志奈子さん(琉球独立学会・共同代表)

 1995年の米兵少女乱暴事件で沖縄は日米両政府に「再発防止」「日米地位協定改定」などを訴えたが、暴行事件はその後も繰り返され、地位協定も改定されていない。2014会計年度の米軍内の性的暴行は1万9千件とされており、もはや再発防止教育では防げないのは明らかだ。軍隊の暴力性が問題の根本にあり、性犯罪をなくすには基地を撤去するしかない。
 沖縄でも米兵による性犯罪は少なくないはずだ。だが、被害者の落ち度を探して責めるような風潮がまん延しており、心ない中傷などにさらされることを恐れて被害者が告訴しにくい現状がある。表面化した米兵による性犯罪は氷山の一角の可能性が高い。
 日本政府は事件が起きるたびに「米側に抗議した」と繰り返すが、真剣さがない。本気なら思いやり予算を削減したり、新基地建設を中止したりするはずだ。沖縄に基地を集中させ、性犯罪被害も沖縄の問題として矮小化(わいしょうか)しようとする構造的差別を可視化するため、基地を日本本土に移設すべきだ。