浦添、小規模保育認可見送り 人員・場所確保後、現場に混乱


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小規模保育に移行するため市の指導で作成した提出書類。審査のため7部作成を求められ準備していた=浦添市内

 【浦添】昨年4月から始まった「こども・子育て支援制度」の一環で、0歳から2歳までを預かる小規模保育について、浦添市は認可の手続きを進めていた認可外保育園に対し最終的に認可しないと通知し、保育現場に混乱を来している。市議会3月定例会の一般質問でも取り上げられ、嘉味田朝福祉部長は「施設関係者や保護者に不安を与え申し訳なく思う」と謝罪した。當間清春議員(仁の会)に対する答弁。

 認可を見送られた保育園は昨年6月ごろから27種類に及ぶ提出書類を準備し、市とやりとりしていた。園の建物が築50年以上で、提出書類の一つの建築検査済み証を得ることが厳しかったため、検査済み証を得るため市から引っ越しが可能か打診があったこともあり、引っ越すことを決めた。
 ところが、物件の報告と問い合わせを昨年12月28日に市の担当者にしたところ、その日のうちに複数の市職員が園を訪れ、認可できないことが伝えられた。
 保育士の確保も市から求められ、4月から保育士5人の採用を内定していた。中には現在働いている保育園に退職届を出してしまった人や、雇用されることを前提に自分の子どもを認可園へ申し込み、入園が決定している人もいる。
 園長は「4月以降の在園児の進級先のリストの提出などをまだ認可が決まっていないうちから求められた。認可できないとはとてもショックだ」と肩を落とす。
 認可しなかった理由について、市は建築検査済み証の不備を挙げ「書類の準備が整った所から認可していった」と説明している。
 嘉味田部長は議会の答弁で「この事業所を認可にもっていきたいという姿勢だったが、できなかった」と述べている。意気消沈した園長は3月末で24年続けてきた園を閉める決断をしたが、保護者の要望もあり、あと1年は続ける予定だ。
 市は本来3年かけて認可化を進める小規模保育について、前倒しして2015年度に8カ所を認可した。拙速な認可化でひずみが生じ、不透明な決定方法に関係者の不満がくすぶっている。
(知花亜美)