【宜野座】宜野座村の特産品の一つであるイチゴを活用した村おこしが盛り上がりを見せている。「道の駅ぎのざ」の2015年12月1日から16年3月3日までのイチゴの売り上げは約3200パックと、前年同期の約1200パックから約3倍と急激に膨れ上がった。イチゴ狩りも好調だ。予約は3月は満杯、4月も平日の一部を除き埋まっている。生産、加工、流通販売が一体の「第6次産業」を将来的に見据えた地産地消に力が入っている。
道の駅ぎのざは村の特産品を使ったスイーツを生産・販売しようと、昨年10月からパティシエを本格配置。味は同等だが、形が規格外のイチゴを使ったケーキなどを販売している。商品を安価で提供できる上に農家の収入増にもつながっている。
パティシエの山城悟さん(53)=村宜野座=は「コストを気にせずにイチゴをたっぷりと使えるのは道の駅ならではだ」と強みを話す。比嘉雅貴駅長は「その場でケーキを作って出す道の駅は聞いたことがない」と生き生きと語る。持ち帰り用の箱までもイチゴを基にしたデザインだ。
イチゴ狩りは村内3施設で行われている。そのうち「村農業後継者等育成センター」では例年12月上旬から5月中旬までイチゴ狩りができる。
村農業委員会の資料によると、09~12年度の来場者は2千人前後だったが、本格的にイチゴ狩りを展開し始めた13年度以降は6千人前後が訪れている。同委員会の山城智事務局長は「施設整備などでイチゴ狩りの運営を希望する農家を支援したい」としている。
3日にセンターでイチゴ狩りを楽しんだ幸喜よせ子さん(66)=沖縄市=は大玉のイチゴを3口に分けて味わっていた。村産の農作物で手作りジャムを販売する「ぎのざジャム工房」の知名美佐子代表(56)=村惣慶=は商品のイチゴジャムについて「新鮮で香りが残る」と地元食材の魅力を語った。(長浜良起)