那覇で無許可民泊施設増 観光多様化、ルール求める声も


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 旅館業の許可を取得していない県内の民泊施設数が増加している。個人所有の空き家・空き室と旅行者を仲介する米国サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」に登録する県内の宿泊物件のうち、那覇市内の登録軒数は200軒を超えるが、2015年3月末現在、那覇市内の旅館業(簡易宿所)の許可施設は96軒にとどまる。同サイトへの登録物件の半数以上が旅館業の許可を得ていないとみられる。

 許可を得るには緊急時の消火設備や避難器具も設置が義務付けられている。琉球大学観光産業科学部の下地芳郎教授は「民泊利用者の増加は時代の流れだが、一定のルール作りを急がないと、今後大きな問題が発生する可能性もある」と警鐘を鳴らしている。
 民泊施設が増加する要因には、外国人観光客の増加による宿泊施設へのニーズの多様化がある。Airbnbには今年3月1日現在、県内全域に約800軒が登録されている。
 旅館業のうち民泊施設は簡易宿所に分類される。ホテル、旅館より規制は緩やかだが、客から宿泊料を受け取るには管轄の保健所などに許可を得る必要がある。学校などの周囲約100メートルの区域内には設置できない場合もある。
 無許可で営業する民泊施設は分譲マンションや賃貸マンションなどにあり、入居者とのトラブルも発生している。不特定多数の人が出入りするため、旅行者と知らない住民が不安を感じるとの相談が行政機関に寄せられている。また、契約駐車場が無断で使われたなどの例もあるという。
 那覇市保健所によると、2015年度に民泊事業者を呼び出して指導した件数は10件ほどで、個人で営業している物件がほとんどという。同保健所は「無許可で営業する施設はもっとあると思うが、特定が難しい。指導した件は全て住民からの情報提供だった」と実態把握に苦慮している。
 Airbnbは琉球新報の取材に対し「ホスト全員に関係法令を順守するよう要求しており、利用規約に同意した上で物件を掲載している」と述べ、「(民泊の)新しいルールを整備するよう日本政府と協働している」と答えた。(呉俐君)