琉大の経済効果694億円 学生ら調査、全国の地方大より高額


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
琉球大の経済波及効果を試算した同大IR推進室の獺口浩一教授(後列左)、村社敬紀さん(同右)と獺口ゼミの学生ら=3月30日、西原町の琉球大

 琉球大学は、2015年度に同大が地域に立地していることで地域経済にどの程度貢献しているかを明らかにする調査を実施し、経済波及効果は694億円、波及効果倍率は1・68と算出した。比較できる全国の地方大学よりも高く、同大が立地していることで地域の経済循環が活発化している。3月30日に発表した。同様の調査は外部のコンサルタント会社などが担うことが多いが、教育効果を狙って法文学部経済学専攻の学生らが調査を担当した。

 文部科学省が予算を伴う大学改革を進める中、各大学は存在意義のアピールに力を入れている。同大では、大学活動に関するデータを収集・分析し、大学の意思決定に資する調査研究を行う「IR推進室」を15年度に設け、経済波及効果の分析も担当した。
 算出された「直接効果」は、「教育・研究活動」として教科書、研究機器や研究資材の購入、「学生・教職員の消費活動」として食費や家賃など日常生活に必要な経費、「その他の活動」として外部からの来校者や付属病院の患者に関わる経費などで、合計414億円。これらに原料調達や輸送などにかかる「波及効果」を含めると県内全体で694億円に上った。
 分析したのはIR推進室の室員で法文学部の獺口(おそぐち)浩一教授、専門職員の村社(むらこそ)敬紀さんと獺口教授のゼミの学生5人。
 大学の14年度の総勘定元帳を基に、医学部、農学部、理学部など多岐にわたる学部で使われた薬品や物品を、名称から分野や製品の種類などを調べ、80万件分を地道に分類し続けたという。
 学生リーダーの森愛佳さん(当時3年)は「メールの出し方からデータのまとめ方まで、学生同士にはない丁寧さを体験することができた」と達成感を漂わせた。獺口教授は「大学の仕事の一部を、学生が責任を持って取り組んだ。社会との接点を持てたことに意義を感じる」と評価した。
英文へ→University of the Ryukyus contributes 69.4 billion yen to economy