県内石油 東燃から安定供給 南西石油撤退でE3販売停止 


社会
この記事を書いた人 新里 哲

 南西石油が3月末で石油製品販売を終了した問題で、石油元売り大手の東燃ゼネラル石油(東京)が1日から、県内で石油製品の供給を担っている。一時は安定供給への懸念もあったが、県や石油業界団体は「供給は確保されている」と安堵(あんど)する。一方、南西の撤退でバイオエタノールを混合したガソリン「E3」は供給停止となり、県内の給油所は販売停止に追い込まれた。再供給のめどもなく、国が推進するE3販売事業の存続が危ぶまれている。

 東燃は3月末、南西と石油タンクのターミナル契約を締結した。本土から石油製品をタンクに運んで備蓄、県内出荷をしている。
 南西と直接取引していた事業者への供給が懸念されたが、県内加盟法人約90社でつくる県石油商業組合は「廃業や事業縮小の話もなく県内の供給体制は保たれている。物流に問題は生じていない」と話す。東燃ゼネラルは「取引先に対して今後も安定供給できるように尽力する」と強調した。
 だが、課題は残る。タンクのターミナル事業に専念する南西が今後、石油事業を別の企業に承継するのか、その時期がいつになるのか見通しは立っていない。エネルギー問題を所管する県産業政策課は「安定供給ができる企業に承継できるのか注視している。国と連携して対応していきたい」と警戒感を募らせる。
 一方、二酸化炭素(CO2)の排出削減に有効とされるE3を扱う給油所は、販売停止に追い込まれた。E3を販売する給油所は県内に55カ所(3月末現在)あったが、在庫は「3~4日程度」(石油製品販売業者)しか持たず、1日以降、順次レギュラーガソリンに切り替えて営業を続けている。南部の石油製品販売業者代表は「今のところ経営への大きな打撃はないが、消費者のE3離れが出てくるのは残念だ」と落胆する。
 環境対策としてE3普及を推進する環境省の担当者は「少なくとも4月いっぱいは供給できない状態が続くだろう」と説明する。東燃はE3販売について「計画はない」としており、現段階で新たに販売を手掛ける企業の動きはない。環境省は「5月以降の見通しも見えない」と危機感を強めている。