食べて元気学んで笑顔 那覇市松川のこども食堂に低額塾復活


この記事を書いた人 志良堂 仁
同じ場所で同日オープンした「シオンハウスこども食堂」でおなかを満たし、「ゆい塾」で学ぶ子どもたち=8日、那覇市松川

 補助事業の終了に伴い閉鎖された低価格の学習支援塾「ユイマール塾」を引き継ぐ形で8日、那覇市内の講師2人がボランティアで「ゆい塾」を始めた。会場は、地域の団塊の世代らが同日に開いた那覇市松川の「シオンハウスこども食堂」。塾に通う小中学生9人と送迎の保護者が手作りのカレーライスに舌鼓を打った。子どもたちはおなかを満たして「やる気が出た」と机に向かい、仕事や子育てに追われる保護者は「親の分まで申し訳ないけど、とても助かる」とほっこりした笑顔を見せた。

 ユイマール塾は、県対米請求権事業協会の人材育成助成事業として各地で展開されたが、2015年度で事業が終了し、ほとんどの塾が閉鎖された。一部の講師らは「ここを必要とする子どもたちがいる」と手弁当で教室を継続している。
 ユイマール塾同様の3千~4千円程度の授業料では場所代を工面できず、移転先を探していたところ、講師の知人の日高房子さん(66)が週に数回ヨガ教室などを開いているアパートの一室を提供。「塾生が食事をし、地域の子どもたちが気軽に来られる場所をつくろう」と仲間6人で育成会を結成し、子ども食堂を塾と同日にオープンさせた。
 食欲をそそる香りが満ち、講師や育成会メンバーらでにぎわう部屋でカレーを頬張った子どもたちは、大人たちに付き添われて食器の片付けまで完了。小5の女の子は「元気が出た」とノートに漢字を丁寧に書き連ねた。講師の1人は「食べると子どもの表情も明るくなる。たくさんの大人が関わって食事の準備や片付けも学ぶことができ、子どもの自立につながる」と新たな一歩を喜んだ。
 食堂の開所は毎週金曜日午後4~6時ごろで、塾生以外も歓迎。無料。食材提供や寄付、ボランティアスタッフを募っている。問い合わせはシオンハウス育成会の日高さん(電話)080(3015)1979。