【熊本地震】実家半壊、母と避難 宮城さん、帰省中に被災


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「こんなに悲しい偶然が重なることがあるかね」。古里の熊本県上益城郡甲佐町への帰省中に被災した宮城澄江さん(65)=那覇市港町、サービス業=は、生まれ育った実家が半壊しただけではなく、遠縁の親類2人も失った。

 40年前に沖縄に嫁いで以来、県内で暮らしているが、仕事の関係で先週から母親(89)が1人住む甲佐町の実家に滞在していた。突然の激しい横揺れで自宅の天井が一部崩れ落ち、大きな音を立てながら次々と食器が割れていく。
 「とにかく今は足の不自由な母を連れて安全な場所へ逃げないと」。これほど命の危険を感じたことはなかった。15日には益城町に住む遠縁の親類の訃報を知り、さらに落胆した。現在は近所の広場に避難し「しばらくは車の中で寝るしかない」と覚悟を決める。まだまだ余震の恐怖から解放されることはないが「みんながゆいまーるの精神を持てば、なんとか乗り越えられる。今は前だけを見るしかない」。自分に言い聞かせるように、言葉をかみしめた。