与那原駅 軽便辞令書、町へ贈呈 駅長の孫が資料27点


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
祖父・松盛さんの与那原駅長の辞令書を古堅國雄町長(左)に手渡す知念宏一さん(中央)とゆたかはじめさん=3月30日、与那原町役場

 【与那原】県営鉄道(軽便鉄道)与那原駅最後の駅長を務めた故・知念松盛さんの孫である知念宏一さん(37)=那覇市=が3月30日、与那原町役場を訪れ、松盛さんの辞令書や感謝状など資料27点を町に寄贈した。資料は町立軽便与那原駅舎展示資料館で保管される。

 松盛さんは戦前、県鉄道管理所に勤務し、国場、桑江、与那原各駅の駅長を務めた。松盛さんの長男で宏一さんの父・宏さんが、自宅で松盛さんに関する資料を見つけ、寄贈先を検討していた。宏一さんは「沖縄戦当時までこの与那原で駅長を務めた祖父のことを想像すると感慨深い。資料を多くの町民や県民に見てほしい」と語った。
 エッセイストで軽便鉄道に詳しいゆたかはじめさんも寄贈に立ち会い、「戦前の遺物である資料からは当時の沖縄の状況が浮かび上がり、極めて価値がある。与那原駅に関する資料は与那原に収めるのが一番だ」と意義を語った。古堅國雄町長は「大事に保管していきたい。駅舎が復元したことで、今後も収集に取り組みたい」と感謝した。
 町は湿度や温度の管理ができる資料保存用キャビネットを展示資料館に新たに設置し、今回寄贈された資料を保管する。展示には複製を用いる。
 この日、ゆたかさんも路面電車の線路が描かれた大正、昭和時代の地図など3点を町に贈呈した。